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BEACH BOYSと出会う その4 "The Spirit Of Rock'n Roll" [アナログ盤]

いゃぁ〜随分引っぱってしまったなぁ。

という訳で3度目の登場。
BRIAN.PNG
これ無いと解らないでしょうから(笑)


いよいよこのアルバムの話。
CIMG4286.png

正式なタイトルは「THE BEACH BOYS」なのだが・・・いつのまにかアルバム名が 「THE BEACH BOYS 85」なっている。これは日本独自じゃなく、アメリカ本国でも このタイトルで表記されている。

「85」・・・・1985年

BEACH BOYSにとって重要な年である。

1983年12月28日のデニスの溺死。

この事故は大きな悲しみと痛手をとなったメンバーの試練となる。

81年頃、またアルコールとドラッグの世界に戻って行ったブライアンではあったが、 デニスの死亡を告げる記者会見の映像を見ると、既に再度の治療にあたったランディの過激な 生活管理の成果があり、81年当時とは別人のようにスリムで健康そうに見える。

「an american band」が見れる方はお解りでしょう。

メンバーは結束せざるをえなかった。

ブライアンの息吹が感じられないアルバムを作ってもファンは勿論であるが、レコード会社すら興味を示さない。

契約すら危ぶまれた時代だ。

しかし、時代が彼らを後押ししたのか・・・様々なプラスの要因がこの年に集中。

その1/ニューアルバムの完成&MTVの力

その2/David Lee Rothの「California Girls」のカヴァー

その3/LIVE AID」への出演

上記の3点がその後を決定づけたようなものだ。

1984年から85年にかけて制作されたアルバム
「THE BEACH BOYS」はこんなラインナップ。
SIDE.1
Getcha Back (Mike Love/ Terry Melcher)
It's Gettin' Late (Carl Wilson/Myrna Smith Schilling/Robert White Johnson)
Crack at Your Love (Brian Wilson/ Al Jardine)
Maybe I Don't Know (Carl Wilson/Myrna Smith Schilling/Steve Levine/Julian Lindsay)
She Believes in Love Again (Bruce Johnston)

SIDE.2
California Calling (Al Jardine/Brian Wilson)
Passing Friend (George O'Dowd/Roy Hay)
I'm So Lonely (Brian Wilson/Eugene E. Landy)
Where I Belong (Carl Wilson/Robert White Johnson)
I Do Love You (Stevie Wonder)
It's Just a Matter of Time (Brian Wilson/Eugene E. Landy)
Male Ego (Brian Wilson/Mike Love/Eugene E. Landy)

ロンドンとL.Aで行われたレコーディングは
ビーチボーイズにとって大きな試練、そして挑戦となる。
デジタルレコーディングとの戦いである。
これは彼らだけじゃなく、多くのベテランミュージシャンが直面した
大きな壁だったと思う。
「プログラミング」という行程はレコーディングに加わるわけだから・・・

プロデューサーにカルチャー・クラブで有名になったスティーブ・レヴォンが参加したこともあり、良くも悪く、ビーチ・ボーイズは最先端のサウンドを生み出した。

何度もしつこく書いているが、特筆する点の一つにカールのR&Bなセンスがビーチボーイズのサウンドに加わった。ソロ作で培った黒っぽいAORにブライアンのコーラスアレンジが新しい。
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SIDE.1の「It's Gettin' Late」は新たなビーチ・ボーイズサウンドを予感させたのだが・・・

ブルース作の「She Believes in Love Again 」はある意味、このアルバムの 裏ハイライトだと思う。ブルースの切ないメロディーに乗せ、ヴォーカルを ヴルースとカールで役割分担した傑作。

逆に王道とも言えるのがマイク&メルチャーによる「Getcha Back」や アル&ブライアンの「California Calling」こういう曲があるから ビーチ・ボーイズはライブバンドとして25年(85年当時)もの間、 老若男女に愛された証だ。
「Getcha Back」のPVがどれだけMTVから流されただろう。 ビーチ・ボーイズをよく知らなくてもこのPVを憶えている人は多いと思う。

実にいいPVだ。


アルバムは残念ながら思うようなセールスは記録出来なかったが、 まだまだビーチ・ボーイズはいけるという感覚と同時に、 ブライアンの今後を大きく決定づけるアルバムとなったのも事実。

太字にした2曲、「I'm So Lonely」「Male Ego」は3年後もブライアンのソロに
大きく繋がる2曲となることは・・・まだこの時点では誰も知らない。
いや、ブライアンとランディには見えていたのだろう。

次のキーワードはDavid Lee Rothの「California Girls」のカヴァー。
これにはカールもコーラスで参加している。
アメリカのミュージシャンは多かれ少なかれ、ビーチ・ボーイズというのは 永遠な部分があるんじゃなかろうか?

David Lee Rothがこの曲を選んだおかげで、ビーチ・ボーイズはライブでの 「California Girls」への反応は一層増したはず。

そしてこのDavid Lee RothがMTVに大きく貢献したPVを多く制作しているのも 時代の後押しかなぁ〜



Fat Boysのアルバム参加なんてのもあったね。「ワイプアウト」



そしてLIVE AIDへの出演。

これはライブバンドとしてのプライドと、アルバムのプロモーション、そしてブライアンの復活を世界に知らしめる絶好のチャンスだった。


この時は寝ないでビデオテープの交換してましたわ(笑)


更にスリムになり、明るい表情の多いブライアン。

しかしなんという年なんだろう1985年。

こんなに活発に・・・運にも恵まれた年はないだろう。

この後88年のヒットシングル「Kokomo」はあるが、 ブライアンのいるビーチ・ボーイズは85年で終わり。 その後、旧作品の方が多い新譜だしたり、 過去の作品に泥を塗るようなセルフカバー出したり・・・何をやっても駄目駄目。 なので私のビーチ・ボーイズもこの85年で一旦幕引きとなる。

そしていよいよこのアルバムの登場である。
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私達(ビーチ・ボーイズファン)が求めていたのは・・・ 結局ブライアンだったんだなぁと当時つくづく思ったものだ。

相変わらず、ユージン・ランディはブライアンの「パートナー」としてアルバムにも 名を連ねている。多分・・・この時点でもまだブライアンには「不安」な材料があった。 笑顔が多くなったが、時折見せる「狂気」な眼差し。
アルバムジャケットにもはっきりその目が使われている。

すっかりデジタルレコーディングを習得したブライアンのサウンドは
いささか大袈裟とも言え内でもないが、
明らかにブライアン・ウイルソンの作品だ。
85年のBB5のアルバムから3年。

この3年間のブライアンそしてランディの関係は
本当に洗脳やマインドコントロールだったのだろうか?
今迄何度も復活に失敗したのは「甘やかし」に違いない。
メンバーでも兄弟でもそれは出来なかった。
時には恋人のように肩を寄り添い、そうかと思えば
地獄のような過酷なメニューを強制し、
ブライアンを支えたのは・・・やはりランディだと思う。

精神科のセラピストは慈善事業じゃないし、しかも相手が
ブライアン・ウイルソン。多少夢も見たかったのだろう。
ランディはロックスターに憧れていたようだ。
こんな点だけ見て、ランディを悪徳医者と決めつけていいのだろうか?

ランディが側に居なければアルバム「BRIAN WILSON」は無かっただろう。
精神面でのアドバイザーとしての貢献は大きい。

しかし、マイクやアルを中心としたメンバーはどうしても
ランディとブライアンを切り離したかった。
様々な訴訟の渦に飲まれそうなブライアンを救うには
ランディが自ら身を引くしかなかった・・というのが事実なのではないだろうか?
ブライアンにとってランディは友人でもあった。
そう思いたい。

ランディは去り、ブライアンは少し太ったが、愛妻と子どもに恵まれ
安定した精神状態で現在に至っている。

私のブライアンは「スマイル」でも「ペットサウンズ」でもなく
この88年のソロアルバムなのだ。

最後に。

本来ならソロ2作目として発売される予定だったアルバムがある。
未発表アルバム「Sweet Insanity」である。
このアルバムはブートでほぼ完全版が出回ったが、
この中に「The Spirit Of Rock'n Roll」という曲がある。
20世紀のポップミュージック・・・その頂点と言っても言い過ぎじゃない
完璧な曲だ。ビーチボーイズ風でも誰風でもない。
ブライアン風なのだ。

この映像は25周年を記念したハワイでのコンサート。
編集で後で重ねたヴォーカルもあったり・・ライブとしての出来は??だが、
このライブのエンディングでブライアンはすでに
「The Spirit Of Rock'n Roll」を歌っている。
その自信に満ちあふれた表情が最高にカッコイイ!




「The Spirit Of Rock'n Roll」・・・・ブライアンの答えだ。























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コメント 13

ベアトラック

重厚長大な力作記事ですね。
今日は、日中かなり忙しくなりそうなので、改めて出直しますわ。
by ベアトラック (2008-09-19 11:23) 

MASA

確かに「85」は最後のまともなアルバムですね^^。
この後はオムニバスみたいな「STILL CRUISIN'」、次がブライアンはノー・タッチの「SUMMER IN PARADISE」ですもんね。

ユージン・ランディはブライアンを出しにして売名行為を図ろうとしたのは確かにマイナス・ポイントですが、何だかんだ言ってブライアンを立ち直らせた部分は評価しないとならないのかも知れません。

「SWEET INSANITY」はブートを持ってないので聴いたことないんですが、正規に発売しないんでしょうかねえ~。
by MASA (2008-09-19 21:47) 

PETTY

MASAさん。ど〜もです。
「85」ってイイ表現ですね。アリだと思います。
「SWEET INSANITY」はスマイル以上に永遠に発売はなさそうですね。レニー・ワロンカーが燃やしたって話もありますから。
この時期のランディは相当クリエイティヴだったようです。
ブライアンには必要な友人兼パートナーであったことは間違いないですね。過剰に悪のレッテルを貼った、マイクやカールの気持ちも解らないではないですが、果たしてBBの中、ランディ抜きで
ファーストソロや幻のセカンドは無かったと断言しちゃいましょうか。「SWEET INSANITY」は価値あるブートです。っていいながら見つからない(涙)
by PETTY (2008-09-19 22:05) 

ベアトラック

人に歴史あり、バンドに歴史あり、なんですね。
BEACH BOYSの熱心なファンではなかったので、ヒット曲くらいしか聞いたことがなかったし。だから、ヒット曲の雰囲気そのままに、カラッと爽やかなイメージしかありませんでしたよ。
ヒット曲以外も聞いてみたくなってきました。

by ベアトラック (2008-09-21 11:34) 

parlophone

こんばんはー。

『85』、ジャケはよく知ってますが、そんなに重要なアルバムという認識はありませんでした。
けれども記事を拝見すると…なかなかすばらしいアルバムのようですね!

近いうちにゲットするぞ~^^
by parlophone (2008-09-21 23:31) 

PETTY

ベアと〜さん。
まさに「人に歴史あり、バンドに歴史あり」です。
あまりにもいろんな問題がこのバンドにはありました。
明るいヒットナンバーも、複雑なスタジオワークもビーチボーズです。
この「85」には様々な要素が含まれていると考えています。
世間的には忘れ去られそうなアルバムですが、私には大切なアルバムです。
by PETTY (2008-09-22 01:18) 

PETTY

遼さん、こんばんは。
本当は・・・カールのソロとこの「85」そしてブライアンの1stと聴いてもらうといかにこのアルバムが彼らの歴史の中で、重要な位置にあるかが解ると思います。
そんなこと力説してるのは、日本中で私だけかなぁ〜?
それくらい「思い入れ」があるアルバムなのです。
是非聴いてみてください。
by PETTY (2008-09-22 01:28) 

たかとび

あっ、間違えて入っちゃいました。す、すみません・・・。
by たかとび (2008-09-28 08:47) 

PETTY

こらっ!間違えるな!!
っていうか、キチンと読みなさい。
by PETTY (2008-09-28 09:40) 

味平

はじめまして。
The spirit of rock'n roll が大好きで、たまに聞き返すのですが、
こんなに明るく軽快な曲なのに、聞いてると涙がにじんでくる・・・
正式発売されてないのが、つくづく惜しい、と思います。
by 味平 (2015-03-08 04:32) 

AKIRA

味平様
誠に申し訳ありません。
3年くらいログインしておらずコメントに返信もできませんでした。
すみませんでした。
by AKIRA (2015-08-01 18:29) 

The spirit of rock'n roll の正式録音

アマゾンのUSAで買えますが、Songs From Here and Back という
ライブとスタジオ曲のコンピ盤にThe spirit of rock'n roll の正式録音(スタジオ版が収録されてます。
もちろん、ディランのいないバージョンです。
向こうのアマゾンのコメントにも、それを書きました。
ほとんど知られてないようなので・・・。
私も、The spirit of rock'n roll は最高傑作だと思います。
by The spirit of rock'n roll の正式録音 (2015-08-21 02:30) 

AKIRA

The spirit of rock'n roll の正式録音さま

情報ありがとうございます。

早速チェックしてみます。
by AKIRA (2015-08-26 20:36) 

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