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NICOLE WILLS・・・今さらだけど。 [CD]

1983年春・・・
なんとも爽やかで清々しいレコードが発売された。

NICOLE WILLSという女性シンガーである。
アルバムタイトルは「TELL ME」という。


初めて聴いたそのレコードは、当時(今でもそうだけど)カリフォルニアサウンドが
大好きだった私には何の違和感もなく、間もなく愛聴盤となった。

ニューヨークの北部ベアズヴィル産のサウンドなのに・・・・(笑)

インナースリーブも無く、歌詞すら印刷されていない。
アルバムに関する情報は裏ジャケットに印刷された僅かな手がかりだけ。

国内盤すら発売されず、輸入盤を紹介する「NMM」などにも詳しい情報は
紹介されていなかったと記憶している。

1995年に世界初のCD化。その後数回の廃盤〜再発を繰り返したが、今日まで
本国アメリカでは一度もCD化されず、アメリカ国内でも日本盤CDはコレクターズ
アイテムとなる。日本でも廃盤になる度にヤフオクなどでは高値で取引され、
私も何度か出品したことがあります(笑)

そんなNICOLE WILLSの唯一のアルバムが、2007年3月遂に紙ジャケで再登場。
それもJVCの高音質盤「K2 HD」での登場である。


収録曲は下記の通り。

・Fallin'
・Tell Me How To Make You Love Me
・Some Guys Have All The Luck
・It Wouldn't Have Made Any Difference
・Tenderness On The Block
・What You Do To Me
・ Isn't It Always Love
・ Maybe
・It Will Be Me
・Never Take The Place Of You

Bonus Tracks

・Hold Me Tight
・Beautiful Pictures Of You

今回初のボーナストラックとなる2曲は、初CD化の翌年にこれまた日本企画で
ポニーキャニオンより限定生産された「Bearsville Box Set」に収録済。

残念ながら今回そのボックスセットは紹介できないのですが、このセット内の
長門芳郎氏の詳しい解説で初めてNICOLE WILLSの過去を知ることになる。

彼女が在籍していた「Johnny Average Band」についてはまたの機会に紹介したい。

収録曲で印象的なナンバーを紹介すると・・・

「FALLIN'」
アルバムのオープニングを飾る傑作。
このアルバム「TELL ME」の印象はこの1曲目が全てのような気がします。
オリジナルはローレン・ウッドのセカンドアルバムに収録された案外地味な印象
ナンバーであったが、NICOLE WILLSのヴァージョンはキラキラとした彩りが
美しく、印象的なサックスのフレーズが心地よい。
彼女はどちらかと言うと美しい声ではない。
ハスキーでビブラートもあまり効かないタイプであるが、そんなヴォーカルを
補うようなバッキングの演奏力と、アレンジの素晴らしさが秀逸。
今回の「K2 HD」になってハッキリ聞こえるようになったのは、
オーリアンズのウィルス・ケリーによるコンガの音。
コンガがこんなに印象的な使われ方がしていたなんて・・・驚いた。

「Tenderness On The Block」
オリジナルはウォーレン・ジヴォン。78年発売の「エキサイタブル・ボーイ」。
ウォーレン・ジヴォンとジャクソン・ブラウンの共作である。
バックコーラスはジョン・ホールバンド。

「What You Do To Me」
ジョン・ホールバンドがオリジナルな軽快なナンバー。
オーリアンズ時代と同様にジョンのワイフ、ジョアンナとの共作。
ジョン・ホールバンドのオリジナルと違い、テンポアップされたアレンジは
アナログで言うトコロのB面1曲目。
同じくこの曲をB面1曲目に使っていたのが・・・・
そう、カール・ウイルソンのアルバム「ヤングブラッド」です。

カールのバージョンもいい。そして「ヤングブラッド」はいい。
これもいつか紹介するぞ。
脱線してしまった。

「Isn't It Always Love」
このアルバムの中で「FALLIN'」と同じくらい大きな意味を持つと勝手に
思っているのがこの「Isn't It Always Love」です。
2007-12-29のブログでも紹介したカーラ・ボノフの代表的なナンバー。

カーラ・ボノフ(紙ジャケット仕様)

カーラ・ボノフ(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: カーラ・ボノフ
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2007/07/18
  • メディア: CD

オリジナルのカーラのシンプルなアレンジとは違い、スケールの大きな
バラードとなっている。このアレンジもキラキラしています。
通常カヴァーはオリジナルにはかなわないって私は思っているのですが、
何故かこのNICOLE WILLSの全曲カヴァーアルバム「TELL ME」は
惹かれるところが多いんです。

このアルバムは本当にNICOLE WILLSが望んだアルバムなのだろうかと・・・
ふと思う。本来ベアズヴィルってこうしたジャンルのアルバム作るレーベルじゃ
無かったはずなのに・・・やっぱランディ・バンウォーマーのヒットの余波?

最初の方にも少し触れたJohnny Average Band時代、
まだ「ニキ・ウイルス」と名乗っていた頃のサウンドメイクはもう少し
尖っていたが、ベアズヴィルは彼女をリンダ・ロンシュタットや当時
全盛期であったニコレッタ・ラーソンのような「歌姫」にしたかったのでは?

ニキ・ウイルス時代の音源は前述の「Bearsville Box Set」の他、
2000年にUK盤で発売されたコレでも聴ける。

Bearsville Anthology

Bearsville Anthology

  • アーティスト: Various Artists
  • 出版社/メーカー: Essential
  • 発売日: 2000/08/21
  • メディア: CD


ジャケットのデザインが抜群である。


コレも市場から消えつつあります。
お持ちでない方はお早めに!








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コメント 26

MASA

今日はポッカリと仕事の空きができ、ホテルでゴロゴロしてます^^。

NICOLE WILLS、全然知りませんがなかなか良さげですね。
カールのソロも未だに買ってないしなあ。
ベアズヴィルのアンソロジーなんかが出てるとは初めて知りました。これちょっと欲しいです。
by MASA (2008-01-09 15:58) 

AKIRA

MASAさん、こんにちわ!
たまにゴロゴロもいいでしょう。こういう時こそmilkさん呼んでコタツ囲んでみかん・・・なんてのがいいんですけどね。
NICOLE WILLSは本人の資質以上に豪華なバックと最高の楽曲で登場したのですが、83年当時まったくのプロモーション不足で見事に転けた名盤ですね。ベアズヴィルっぽくないサウンドメイクとベアズヴィルらしい選曲、バック陣がおもしろい1枚です。アンソロジーは買った方がいいかも。お得な2枚組です。
by AKIRA (2008-01-09 16:07) 

ベアトラック

全然知りませんでした。が、取り巻きや関係者の名前を見たら、なんか興味が出てきましたねぇ。聞いてみたいなぁ~
あー、今日はなんだかんだ忙しいです。
by ベアトラック (2008-01-09 17:25) 

AKIRA

ベアトラック様
このレコードは・・・・発売当時、輸入盤屋さんでは結構イチオシだったですよ。勿論、久郎さんも持ってますよん。薔薇八四ちゃんには洗脳のために1枚プレゼントしたんじゃなかったっけかなぁ〜。忘れてしまいました。この紙ジャケも去年の3月発売だから在庫あと僅かみたいがから、買っておいてもいいかもしれませんよぉ。宣伝マンか!オレは。
by AKIRA (2008-01-09 18:13) 

parlophone

う~ん、まったく知りません。
ですがPETTYさんのオススメですから、がぜん興味がわきます^^

しかも去年紙ジャケが出ていたなんて…。
さっそく探してみよ~っと^^;
by parlophone (2008-01-10 00:32) 

クロウポイント

nicole wills = sea windです。maybeが好きでしたね。
83年ころの新潟でした。
by クロウポイント (2008-01-10 08:09) 

AKIRA

久郎さん、その図式だとどうしても悪しきsunset houseも絡めないといかんですね。誠に遺憾です。しかし好きな音楽が変革期にあった80年代においても、この1枚は「一服の清涼剤」って感じでしたよね。
by AKIRA (2008-01-10 11:31) 

AKIRA

遼さん、おすすめしますよ。ベアズヴィルの良心とサウンドメイクの素晴らしさを是非聴いて欲しいです。
NICOLE WILLSは時代に不本意に時代に流されたようで残念ですが、たった1983年のたった1枚で現在まで名を残している事実は、聴いてもらえれば納得いくはずです。
by AKIRA (2008-01-10 11:40) 

バックストリート

はじめまして、遼さんのブログから辿り着きました。NICOLE WILLSのこのたった1枚の作品はビクターからCD化されたときに購入したのですが、昨年にリマスター、ボーナス・トラック付きで再発された時にも迷わず購入してしまいました。どの曲もみずみずしくて良いですね。ニコレット・ラーソンも歌っていた「FALLIN'」、ジャニス・ジョプリンの熱唱もいいけれどNIKOLEがしっとり聴かせる「MAYBE」、その他どれをとってもNIKOLEの魅力が溢れています。ポニー・キャニオンから発売されていたベアズヴィルのボックスもいきつけのレコード屋の店主に薦められていたのですが、買っておけば良かったと後悔しております。
by バックストリート (2008-01-10 20:19) 

AKIRA

バックストリートさん
こんばんは。ヴァン・ダイクの所でもコメント頂きましたので2回目になりますね。ありがとうございます。
私は・・ベアズヴィル・ボックスは手放した罰当たりでして・・・後悔しております。アナログ自体が結構いい音でしたが、さすがに2007年版は驚きますね。こんなに細かくパーツが聞こえていいのかって感じです。
ニコレッタの「FALLIN'」も可愛いですが、やはりこの「FALLIN'」はアレンジが最高ですね。
by AKIRA (2008-01-10 21:08) 

DEBDYLAN

ベアズヴィル・レーベル。
好きなレーヴェルなんですけど・・・

知りませんでした、このアルバムもミュージシャンも^^;

まだまだ詰めが甘い僕です。

これからもいろんな音楽教えて下さい^^。
by DEBDYLAN (2008-01-10 23:34) 

AKIRA

DEBDYLANさん
それくらい異端だったのかもしれませんね。
ポール・バターフィールドやハングリー・チャック、ボビー・チャールスなどが再発される際には必ず一緒に出ていたと思います。私の最初のベアズヴィル・レーベル体験は高校時代のジェシ・ウインチェスターの1stでした。それもカナダ盤(笑)
by AKIRA (2008-01-10 23:46) 

ベアトラック

千葉のアマゾンさんに在庫があったので、早速購入しました。
いつの間にか愛聴盤の1枚に(笑)。
あ、急ですが、31日(木)から5泊でニューメキシコ州出張に出掛けます。いつもより2泊少ない日程なので、ちょっとハードですが。張り切って行ってきたいと思います。
明日29日(火)、愚妻の世話、よろしくお願いします。すみませんねぇ。
by ベアトラック (2008-01-28 10:52) 

AKIRA

お〜ベアとうさん、在庫あってよかったっすね。
間違いなく愛聴盤になるでしょう!
出張・・・このペースだとブログタイトル変えないとだめかもしれませんね。「行くぞ年6回・・・」とか(笑)
29日は久郎さん共々楽しみにしております。
奥方、ランチ何食べたいっすか?
by AKIRA (2008-01-28 11:05) 

ベアトラック

昨日は、愚妻が大変お世話になりました。喜んでいましたよ。
年6回ニューメキシコ州に出張していたら・・・してみたいけど・・・ブログを更新する時間の余裕が、ますますなくなってしまいますがなぁ~(笑)
by ベアトラック (2008-01-30 06:44) 

AKIRA

ベアと〜さん
昨日はお土産まで頂いて恐縮しております。
餅好きには嬉しいお土産、そして年男だから・・・
豆も節分に48個食べます(笑)
昨日行ったカレー屋さんも、家から近いんですが、あまりテリトリーじゃないので10年以上行っていませんでしたので、私も久郎さんも久々に楽しく美味しいランチができました。
オヤジだけのランチより女性がが居ると100倍食事は美味しくなります。か〜さんもカレー喜んでくれたみたいで良かったっす。今度は是非、と〜さんと留守番2号も一緒に新潟で遊べるといいですね。出張、強行スケジュールのようですが、頑張ってくださいね。
by AKIRA (2008-01-30 10:33) 

ベアトラック

毎度のことながら、時差ボケで午前3時前に目が覚めましたよ~苦笑
by ベアトラック (2008-02-01 22:24) 

AKIRA

お疲れ様で〜す。
コメント入れようとしたらコメント欄が無い!
忙しいから仕方ないっすね。
しかしいつ見ても駅とスーツケースはすばらしい。
古典芸能のようでありながら、四季を写し、モデファイされていく。HPでやっていた頃からいったい何カットとっているのでしょう?継続は力であり宝になりますね。
by AKIRA (2008-02-01 22:28) 

ベアトラック

おかんです。
↑すごい細かいとこ誉めますねー。
私は、まだ首が痛いです。

ダンナが午前3時にメールしてきて、目が覚めちゃって・・・
もう1回寝たら、ショッキングピンクのバスローブ着たPETTYさんが、
夢にでてきて・・・なんかヤダ
by ベアトラック (2008-02-03 11:13) 

AKIRA

おかん、いい夢見ましたね(笑)バスローブ着てるってことは・・・私は下男じゃなかったんですね。カレー美味かったっすね。今度は3人で来れるといいですね。ウンコ色の車、納車されました。
by AKIRA (2008-02-03 12:48) 

ベアトラック

なんかね・・・アレを着て、すっごくくつろいでましたよ。
見つかって、お嬢様にひどく叱られればいいのに(笑)

カレー、念力が通じて嬉しかったです。
by ベアトラック (2008-02-03 14:42) 

AKIRA

水川あさみちゃんだったらいいのになぁ〜・・・お嬢様が(笑)
by AKIRA (2008-02-03 15:33) 

ラベルが可愛いですね^^
(水川あさみさん、好きです)
by (2008-02-04 23:55) 

AKIRA

ayumuさんも水川あさみちゃん派ですか〜!
うれしいなぁ!!
by AKIRA (2008-02-05 16:20) 

Sken

はじめまして。
遼さんのところから来ました。
私もこれは大好きなアルバムです。
オーリアンズ関連で知ったアルバムです。
主人公のことは全然知りませんが、アルバムはいいですね。
確かにニコレット・ラーソン狙いのようですね、会社側の
思惑は。
by Sken (2008-05-02 16:37) 

PETTY

Skenさま
はじめまして。
遼さんのとこからですか!ありがとうございます。
Johnny Average Bandがもう少し認知度が高ければ、
いかに彼女が本意でないスタイルをしいられたかが
よくわかるような気がします。
しかし、内容的には良く出来たアルバムですよね。

by PETTY (2008-05-02 20:43) 

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